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田村進氏「S.Tamura」レポート
 
技術製作を一手に担っている「田村進氏」の製作話を公開!
EXGよりリリースしている「チューンナップ版」Maxonペダルシリーズ。その技術製作を一手に担っている「田村進氏」の製作話を公開! TS系の「TSを作った」田村氏。海外楽器関連メディアでTSに関するトピックには大抵「S.Tamura」の文字を目にします。
 
製品ページには書いていない裏話など..「機種ごと」に公開しております。

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MK-OD

製作レポート

 =「田村進氏」

 
 

(EXCEL) MK-ODを作り始めるまでのお話しをお聞かせください。

 
 
(田村氏)「MK-OD」を作るにあたっては、EXCELさんと何度かのミーティングを行いました。

 
現在好評をいただいている「EXG SD-9 SUPER」を横に並べて「バッキング、リード用」とか、アンプのCHを切り替えるように「オーバードライブ、ディストーション」と切り分けて使えるようにすることが今回のミッションになりました。
 
「MK-OD」については、ブースターのような役割よりも、「このようなアンプの音を、」と、その音質については明確なリクエストがありました。
 
(その場面では音のイメージとして、オリジナルマークI や、JimKelleyというアンプの名前が挙げられました。)
 
それらのアンプの音や特徴を検証しながら、私はじっくり考え、サウンドコンセプトを明確にできた段階で、同時に「MK-ODをどう作るか?」をイメージしていました。そこからアイディアとして浮かんだのが「MaxonのST9Pro+」をベースにファインチューンする方法でした。
 
この「ST9Pro+」と言うのは、元々は82年頃に「ST9Pro」と言って日伸音波製作所(Maxon)が「TSをベースに開発した」オーバードライブペダルです。
 
 
 
(EXCEL)今回、「SD-9 SUPERのユーザー」へ、音のバリエーションを追加して欲しい発想もありました。

 
 
はい、その通りになったと思います。
「SD-9 SUPER」も「MK-OD」も、同じエンジニアである私が作ったもので、私がファインチューンするエフェクターになるのですから、
 
そのカラーと言うか、分かりやすく言うと「エフェクターの血液の部分が一緒」の方が、ユーザーさんはきっと使いやすいと思うんです。
 

 
Maxon(日伸音波製作所)でやってきたことと、私がファインチューンすることで、互いのスピリットは共通になる訳ですから、別のメーカーのものと組み合わせて使うよりも、2台を組み合わせて使う「コンビネーションを高める」部分についてはアドバンテージがあります。
 
仮にSD-9SUPERがなくても、「MK-OD」1台で使うことについても、コンセプトに合ったオーバードライブペダルとして使っていただけるよう、仕上がっていますよ。
 
 

(EXCEL)「MK-OD」のメカニズムについて解説をお願いします。
 
 
はい。
購入をご検討中のお客さんも、ユーザーさんの多くが「分かりやすく読める」ように、できるだけ電気的な言葉を使わずにお話ししますね。
 
まず、素体の「ST9Pro+」に備わっている電圧をポンプアップする「18V機能」があります。
これを「MK-ODモードに組み合わせて」活用したらいいぞと思いました。
 
そもそも、「MK-OD」と言うのは、中央のミニスイッチを「上」にする「オリジナルモード」を示します。
これはMaxonとは別の音がするオリジナルモードです。
 
あまり電気的なお話しをしてもここを読んでくださっている皆さんが退屈してはいけませんし、
詳しい仕組みについては「秘密にしておきたい部分」でもありますので..分かりやすく簡単に説明しますね。
 
このミニスイッチを上にする「MK-ODモード」というのは、
 

 
オリジナル回路(Maxon)とは「大幅に変えているため」、「別の音がする」ようになっています。
 
エンジニア側面の視点から言えば、不要な歪み、それを我々は非意図的な歪みと言いますが、
それらはMK-ODモードにはありません。不要な歪みがない、実に綺麗な歪みが出るんです。
 
素体に装備されていた「Lo-Boost機能」も排除しました。クリアーなサウンドを目指すためです。
 
これらのチューンナップによって、MK-ODには不要な歪み、我々エンジニアはこれらを「非意図的な歪み」と言いますが、
 
MK-ODにはそう言った「非意図的な歪みがない」、クリアーなオーバードライブが完成しました。
 
クリアーと言ってもクリーンブースターと言う意味ではありません。
MK-ODは単体でもきちんと歪みます。
 
アンプのクリーンINPUTに入力すれば、プリアンプに近く、なおかつブースター、
つまり、
「アンプをブーストしたようなオーバードライブ」をペダルで出すことができるという訳です。
 
 

(EXCEL)サウンド面について、もう少し詳しく解説をお願いします。
 
 
そうですね..
ユーザーさん目線から「MK-ODを使って音を出す」と、
 
それは、
 
・基調となる音が雑味のないクリアーなサウンドで、
 
・ダイナミックレンジが広く、フルレンジに近いようなオーバードライブが出せます。
 
近年ではそれらのペダルを「アンプライク・ペダル」と言うみたいですが、私たちの意図とした「アンプをオーバードライブさせたような音には大分近づいたエフェクター 」が作れたと思います。
 
クリアーなサウンドの部分をもうちょっと深く説明いたしますと、
よく言われるような「コンプレッション感がないので」ニュアンスやサスティーンが詰まるような感触もほとんど感じないと思いますよ。
 
 
(EXCEL)Midエンハンスと、TONE機能の組み合わせにも「個性」がありますね。

 
 
「Midエンハンス機能」
これは元々装備されている機能ですが、「Midエンハンス機能を、もっと使いやすくファインチューン」しました。
 
「Midエンハンス機能とTONEと組み合わせる」ことで、
 
・フュージョン好きな方には「マイルドな丸い音質」を作りこめますし、
 
・ブルースギタリストが好む「クッキリとした乾いた音質」まで、
 
ツマミの設定、セッティングはとても合わせやすく使えるようにチューンナップしています。
 
これについては、お話しよりも(ギタリスト)林さんのデモ動画を見てもらえれば分かりやすいと思います。
 

 
 
これからも多くのギタリストに楽しんで、そして長く使って欲しいですね。
 
 
 

(おわり)

PAC9 SUPER

製作レポート

 =「田村進氏」

「PAC9 SUPERの素体」になったMaxon PAC-9発売当初のお話をお聞かせください。
 

Maxon PAC-9

 
 

PAC-9は、2010年頃にMaxonから発売されたアナログ・コーラスペダルです。当時は私も企画、デザインに携わっています。

 
PAC-9は、コーラスの弱点を解消するために、私は内部にdbxのNR(Noise Reduction)回路を搭載する方法を考えました。今もいいアイディアだったと思います。
 
 
そもそも、BBDコーラスの特徴は何でしょうか?

 
BBD(Bucket Brigade Device )は、エフェクターが好きな方でしたら、その名前をよく耳にすると思います。コーラス、アナログコーラスと呼ばれるもので多く使われている「集積回路部品(素子)」のことを言います。

BBDは、コーラスの音を作る上で、重要になる「遅延回路」つまり、ディレイ回路のために必要になるキーパーツにあたる訳ですが、エフェクターとして完成された音はロータリースピーカーの様な揺らぎや、気持ち良い揺らぎのある、一般的に「コーラス」と呼べるエフェクト効果を作り出すことができるのですが、その中でもBBDコーラスは、コーラスとしての揺らぎの反面、その性質上ノイズが多かったり、ダイナミックレンジも狭いために、全体的な音は薄くなりがちです。

それを単にノイズゲートを搭載する方法で補うのも手段の一つですが、それだとLevelが低い状態では一部の音が消えてしまうなど、懸念される部分もある訳です。

 
 
そこで、Maxon時代に、dbx NRを搭載するアイディアが出たと言うことですね。

 
元々、当時のMaxon(日伸音波製作所)はワイヤレスマイク機器にも力を入れていた会社ですので、そう言ったワイヤレス機器にもdbx NRを採用していて、我々としてもdbxに関しては信頼性も高い回路でしたし、NRの「コンプレッサー・エキスパンダー」は、もちろんエフェクター界でも有名で信頼性も高い回路ですのでね、

私は、「dbx NRコンプレッサーとエキスパンダー回路の間にBBDコーラスの回路を存在させる」デザインを発想しました。

先ほど言った、BBDコーラスの弱点のノイズやレンジの狭さを解消するために、

PAC-9は、本体へギターの信号が入って、

まず、dbx NRのコンプレッサー回路を通過します。ここで一旦適切なレンジに抑えてから、
コーラス回路を通過し、
NRのエキスパンダー回路で拡張して出力する、この流れを「全てアナログ回路」で行っています。

 
 
ところで、PAC9の様なアナログ回路のコーラスと、デジタルDSP系のコーラスの違いは何でしょうか?

 
 
最終的にプレーヤーがどう好むかですが、

本来、我々エンジニア、デザイナーの間では、アナログコーラスを想定した際に、Leslie SP(=ロータリー・スピーカーと言って昔はスピーカー自体を回転させてエフェクト効果を作っていた)やコーラス効果に最も近い音を出すために、それに向いた、適している素子としてBBDを使ってアナログ回路で組んでコーラスを作っていたのが一般的なコーラスの作り方でした。

これも、「アナログ、デジタル」にはそれぞれの作り、これはクオリティの違いもありますし、音の違いもそれぞれなので、一概には言えませんが、

アナログに対して、「DSP系」と呼ばれるデジタルのコーラスは、処理速度は早いので、「一度に沢山の処理ができます。」

でも、別の言い方をすれば「沢山の処理が必要になる」とも言えます。

対して「アナログ回路のコーラス」は、入ってくる信号に対してやることは「シンプル」です。
長くなるので詳しくは説明しきれませんが、遅延させた音と原音とミキシングするだけです。
ギターの単音でも、コードトーンも、信号に対し、漏れや、どこか落ちがある感じのない「まとまった美しい音を作れる」ことから、
DSP系/デジタルエフェクトが流行っていても、こうやってアナログのコーラスを好むプレーヤーがいる、
 
そして、「この音がいい」からの理由で、今の時代にアナログのコーラス回路を組んで製品化しているメーカーもあるのだと思います。
 
 
話はdbx NRとの融合に戻りますが、アナログ回路でdbx NRを併用したコーラスのその最大の利点は何でしょうか?

 

dbx

 

少し電気的な話になりますが、dbx自体は、RMS(Root Mean Square)で動作するため、一般的な平均値で動作させるNRに比べ音の輪郭を損なわないのが特徴です。

先ほども話しましたが、

分かりやすく言うと、 PAC-9は「コーラス回路を、dbx がサンドイッチしている」みたいな構造になっているんです。

 
世の中には「音がペラい」コーラスと言われてしまう物もあるようですが..

 
その点について、PAC9は予めそうならない(=音がペラくならない)ためを考えてデザインしてある訳です。

ギター信号が本体に入ると、レンジが狭く音が歪みやすい弱点はある、だけど音はよいBBDコーラスの回路へ、

(PAC9は)Guitar→「適したレンジにdbxが圧縮して」→「コーラス回路へ」入ります。
そこから出る信号はそのままだと音は狭いままですから、
そこから、「コーラス回路→再びdbxのエキスパンダーで広げて出力する→」訳です。

なので、


「ただ単にBBD回路で構成したコーラス」や、そこに「ブースト回路を付け足してただ音量を上げているだけのエフェクター」とは異なりまして、

PAC-9自体は、回路上は複雑ですが、ユーザーにとっては適切であることをやっているんです。

なおかつ、dbx NR回路はノイズに関しては(分かりやすく言えば)デシベルで2倍のノイズ削減能力を持っていますから、ノイズも少ないどころか、ほとんど気にならないでしょうし、

 
そもそも回路を動かすことに相応の電圧を必要としますので、PAC-9も「内部で回路電圧の昇圧を行っている」ことで、「自ずとレンジも広い音になる」訳です。
 
 
今回の「チューンナップ=SUPER化したPAC9 SUPER by EXG」に関する苦労話や、チューンナップのポイントをお聞かせください。

 

 

苦労話ですか・・

「PAC-9 」はチップ部品を使ってますからね(ロボットが実装する米粒よりも細かい部品)・・

 
チューンナップするも何も、とにかく、中身は複雑だし、細かいし、そこをいじるんだから本当に大変ですよ。見るだけでも大変。

他の人はやらないだろうなあ(笑)。

いや、本当の話で、これは真似できないと思いますよ。
それこそ、モディファイを得意とするエフェクターメーカーでもやらないでしょうね。「それだけ複雑で細かい」です。

それでも主要部分の大幅な見直し、改良を行ったことで、EXCELさんから「ココとココをこうしたい」とリクエストのあった音楽的なコーラスに仕上がったのはよかったと思います。


そうですか、フュージョンファンに好まれてますか、それはよかったです。

「PAC9 SUPER」は、とにかくアナログ回路のコーラスとしては「ノイズ」も相当少ないので、クリーントーンのアンプでも綺麗な音で使えるでしょうし、「本体をONにした時に、音が下がった感じにならない工夫も施した」ので、今までコーラスってこんなもん(音が下がる)と我慢して使っていた方にも、「このコーラスなら使える!」って思ってくれるんじゃないでしょうかね。

出力も、ステレオ出力を含めて、Levelを変えて改良してあります。

この辺りの解説は「製品のページ」にも書いてくださってあるので、そちらも読んでいただければと思いますが、

「PAC9 SUPER」の「SUPER化(チューンナップ)」した最大のポイントはいくつかありますが、

 
やはり、ポイントは「2つのミニSWの機能」ですね。

「左SW」は、Dry/Wetの改善と改良を行いました。
ここは、音楽的に合致する重要なチューンナップ箇所でした。
EXCELさんの要望にあった、「早いフレーズに付いて来て、ゆるいアルペジオでも遠くで綺麗に響くコーラス」にするために、薄くかかるコーラスを意図する音質に改良し、それと一緒に、ディレイ音(wet)と原音(dry)がバランスよいモード、この2つを作りました。

周波数特性が変わる「右SW」は、コーラスらしい綺麗な音と、


その逆に..
こう言うのを、「濁ったコーラスとか、エグい音」と言うんですか(?)(※1)、

「その音」を作るために何度も熟成を重ねました。

((※1)当然ながら「エグい」とか「濁る」の言葉の表現だけではなく、実際に周波数帯を設定する、決める作業は音を出しながら何度も何度も改良また改良の繰り返しの作業をしました。)

意図とし、目指す音質に合致させたことで、トータルのコーラスの音は、「美しい音」と「深みのある音」と二面性をハッキリと分けることができました。

この辺りも製品紹介に書いてありますので、そちらを読んでいただくとして、

この様に、「PAC9 SUPER」は、「2つのミニSWだけで、4つの音を作ることが実現」しました。


切り替えは分かりやすく変化しますので、ユーザーさんはスイッチを操作することを、それを楽しみながら使っていただけるエフェクターだと思います。

 
 
 

(おわり)

CP101 SUPER

製作レポート

 =「田村進氏」

チューンナップ素体になっている「Maxon CP101の特徴」についてご説明をお願いします。
 
 
「はい。その前にまず、ペダルのコンプレッサーとは「メカニズムで大きく分けると2種類」あることをご説明します。」
 

 

(写真は田村さん講師で行なった「コンプ研究会」開講時のもの。)

 
・1つ目は「オプティカル」これはフォトカプラーやCdSを用いたコンプレッサー。
 
・2つ目は「VCA」つまりICを使った物。OTAコンプ(Operational Transconductance Amplifiers)と呼ばれるダイナコンプやROSSが代表的な物ですね。
 
「MaxonのCP101は、前者のオプティカルを使用」しています。

同時にそのCP101をチューンナップしている「CP101 SUPER by EXG」も「オプティカルのコンプレッサー」です。
 

 

「CP101 SUPER」について、「チューンナップして特に向上したポイント」について教えてください。

 
まず最初に、 「Level」です。 CP101の最初の設計時(1970年代)は、今ほどギターの種類は多く存在しませんでしたし、 他のエフェクターやアンプにしても、それらをCP101と併用することも広く想定はできない 時代でした。
 
現代はギターの種類、ピックアップのパワーの違いも様々ですし、 それらを鳴らす環境(アンプなど)も多様化しています。 今回、「CP101 SUPER」へチューンナップするにあたって、 私はその辺りも全面的に見直すことにしました。 つまり、現代のギター、アンプシステムに対応する工夫をしました。
 
「CP101 SUPER」本体への入力はシングルコイルの他に、ハムバッカー、 特に近年のギターではハイパワーなハムバッカーを搭載したギターもありますので、 それら「多様化に対応できるレベルに設定」へ変更しました。 デモムービー(CP101SUPER製品ページに掲載中)にも紹介されている通りに、 もちろんシングルコイルの使用もいいですし、 ハムバッカーでの使用に対しても、音が沈んだ感じにならずに使える様になりましたね。
 
次に、「コンプの掛かり方」です。 「CP101 SUPER」は、コンプレッションポイントの設定を変更しました。 分かりやすく言うと、「スレッショルドの設定を改良」しています。
 

 

 
この「スレッショルドの設定を改良する」については、ユーザーの使いやすさも考えました。ギターを弾きながら、SUSTAINツマミを回して行くと、どこかの位置で急に変わることもなく、滑らかに変化して行きますから、操作性もよいですし、お好みのポイントへセッティングしやすいと思います。
 
後は、「ノイズの改善」です。「CP101 SUPER」はノイズの改善、特に高域のノイズについては大幅に改善させました。けれども、低域の出方はナチュラルに出し、その上で、S/Nが改善されたことで、コンプレッサーであっても、ONにした時の「シャー」と言うノイズはほとんど気にならないレベルにまで改善できました。
 
 

CP101 SUPERを使うことでユーザー(購入者様)が得られるメリットをズバリ!お聞かせください。

 
先ほども言いましたが、「どっちが良いか悪いかではなく」、ダイナコンプみたいな、いかにもコンプが掛かった音へと変化する「大きなエフェクト効果」を望むものと「CP101SUPER」は違いまして、
 
「CP101 SUPER」は、フォトカプラーとオペアンプで作るシンプルなコンプレッサーの利点を活かし 、全体の音質を変えずに、なおかつコンプレッサーを掛けることが出来る機器です。
 
「原音忠実」と、コンプレッサーのキャッチコピーでよく目にする言い方ではありますけど..「CP101 SUPER」は「正にそれですよ」と言える、「最も生音に近いコンプレッサー」だと思います。
 
掛かっているか掛かってないか分からない位のレベルまで極端に薄くすることもできますので、ギター本来のクリアーな音質のまま、コンプレッションが優しくかかり、音はとても綺麗に揃う、そう言った使い方ができます。ユーザーさんは「演奏もしやすくなる」と思いますよ。
 
 
ーおわりー


SD-9 SUPER

製作レポート

 =「田村進氏」

チューンナップ素体の「Maxon/SD-9」が誕生した話を教えてください。

 
「70年代後半から80年代に入る当時は、他のメーカーからもディストーションペダルが発売され始めた時期でした。Maxon(株式会社 日伸音波製作所)もその流れに合わせて、SD-9を作り発売しました。ディストーションペダルとしてはMaxonの歴史上では(発売時期)最初の方に位置するモデルです。」

 
「SD-9 SUPER」の効果的なチューンナップ・ポイントをお聞かせください。

 
「ポイントは主に「2つ」あります。

 

 
1番はやっぱりTONE(TONE機能)です。オリジナルのMaxon/SD-9ではその性質上、TONEを7~9時くらいに絞って使うユーザーが多かった様です。
 
「SUPER」では、TONE機能を幅広く、そして、使いやすくするために、TONEポットだけ交換で済ませるのではなく、チューンナップ版としてリリースするためには、私は「TONE回路自体も一緒に変更する必要がある」と考えました。
 
単にポットを交換して完了ではなくて、TONEをセンター(12時)にして右左どちらに回しても使いやすくするために、先ほど言ったTONE回路自体の変更を行った上で、変更後のTONE回路に合わせて、「SD-9 SUPER」のために特別に用意したTONEポットへ交換しました。チューンナップしたことで、TONEツマミはとても使いやすくなりましたね。音をマイルドにするまたはブライトにする、どちらにも使いやすくなりました。
 
そして、
 
2番目のポイントは、EXCELさんからリクエストのあったコンセプトひとつ「ローエンドを重厚に」する点です。
 
チューンナップ作業中は、全て、Audio Precisionで検査(オーディオアナライザ、測定器による検査。以降「AP」「測定器」と省略)しながら、意図する音質がでるように、この辺かな?、この辺かな?と、繰り返しの作業を行いながら、試作機のテストを行いコンセプト通りの低域の厚みが出るようになりました。
 
「SD-9 SUPER」をお買い上げいただいているお客さんの多くが、フュージョンやAORファンであると聞いています。ユーザーさん達の好きなトーンと上手く合ったんでしょうね。よかったと思います。
 
「SUPER」のポイント、大変だった、苦労した部分を挙げれば以上2点ですね。もちろん、この他にもチューンナップ箇所はありますので、詳しいことは「製品ページを読んで」いただければ、と思います。」
 

 

最近の「ブティック系」と呼ばれるペダルエフェクターと、「当製品の作り方の違い」について田村さんのお考えをお聞かせください。

 
「今回の様なMaxonのチューンナップ版を作る、この様にもう一度見直しながら良い製品を作り出すものと、新しい(ブティック系と呼ばれる様な)エフェクターを作ることは目指すものが違いますね。

 
「作り方の違い」については、私の場合はまず「製作環境」も違います。どこの、どういったパーツを、どこから用意するか、についても、培ってきた経験や、人と人のネットワークを使って、必要とする部品は手に入れやすいですし、
 
今回のSD-9 SUPERのTONE機能を例にすれば、ツマミの動きに合わせて綺麗に変化する様に、ポットの「テーパーや値まで考え」て、「合致する部品を用意」する、時には考えに合った「必要とするパーツを特注できる」環境にあります。
 
私も長くやってきたんでね(笑)、 今回のチューンナップ版の製品コンセプトの方向性や、目指すゴールを聞いている打ち合わせの段階で、もうある程度どこをどうするかって直ぐ想像で思い描けてしまうんですよね。
 
AP測定器で1台ずつ測定、検査していることもそうですね。音はもちろん、「ツマミの動きが正しく変化するかどうか」まで測定器でチェックすることで、アンプで音を出したチェックだけでは分からない、「可聴域(耳で聞こえない音域まで)までの検査」が行えるため、ワイドレンジな検査環境での製品作りを行っています。
 
なので、「何台中の当たりの1台!」ってことはなくて、お客さんは1台1台が個体差がほとんどない「SD-9 SUPER」をお買い上げいただけますからね。
 
ーおわりー